点眼の5分間隔の根拠
2種類以上の点眼を使用する際には5分以上開けると聞いたことがある人は多いと多いと思います。
しかしなぜ5分なのか解説します
5分の根拠としては
涙液の交換率(入れ替わる速さ)は毎分8~15%
そのためですべて入れ替わる時間を計算すると
100/8=12.5分
100/15=6.66分
6.66分~12.5分ですべての涙液が入れ替わっていることになります。
最速6分で薬液が消失していることになるので、これが5分は間隔をあける根拠の一つです。
また、涙液の産生量は1.2μlと言われており、結膜嚢内の涙液量は7μl程度なので
7/1.2=5.83分
5分近くで涙液が完全に置き換わる計算となります。
5分より短い時間で点眼を使用しても、先に点眼した薬液が吸収される前に結膜嚢内からあふれ出てしまいますので効果が十分に得られない可能性が高くなります。
実験でも
白色ウサギにピロカルピンを点眼した場合、房水中の Cmax について、以下の報告(J.W. Sieg and R.Robinson,J.Pharm.Sci.,65,1816(1976))があります。
(1) 30 秒後に生理食塩液を点眼すると、ピロカルピン単独に比べ、約 70%
減少する
(2) 2 分後に生理食塩液を点眼した場合、同様に約 30%減少する
点眼を複数使用しており、5分待つというのはかなり面倒と思いますが、効果を見込めない使い方をしても無駄となるので、しっかり5分間隔をあけるようにしましょう。